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実家(or自宅)の売却や相続にあたっては細心の注意を

2025.01.01

新年明けましておめでとうございます。

本年も何卒よろしくお願いいたします。

 

相続開始後に、被相続人の自宅を相続等した者がこれを売却することがよくあります。例えば、相続した子が既にマイホームを持っていたり、遠方に住んでいたりして、実家への転居が現実的に難しいようなケースです。

その際に気になるのは、売却に伴う譲渡所得税の負担。所有期間が、売却した年の1月1日時点で5年以下なら税率39.63%、5年超なら税率20.315%です。所有期間は被相続人が取得した時からの通算で考えるため5年超となるケースが大半ではありますが、それでもかなり負担の重い税金だといえるでしょう。

 

ただし、被相続人の自宅家屋が旧耐震時代(昭和56年5月31日以前)に建てられたものである場合は、「空き家の3,000万円特別控除」の適用を受けられる可能性があります。適用なら譲渡所得税は大幅減で、ゼロ円になることも少なくありません。

特例の適用には幾つかの要件がありますが、事前に知っていれば何とかできたものを、知らなかったためにちょっとしたことで不適用となるケースも結構見受けられます。

そんな、ある意味では不運だったお客様の事例を2つご紹介します。

 

【事例①】

父親が亡くなり、自宅は母親が相続して単身で居住。数年後に母親は高齢者施設へ入所することとなり、最後は施設で死亡。隣町に住んでいた長男がこの自宅を相続し、売却を希望していたケース。

「空き家の3,000万円特別控除」の適用を受けられる要件を概ね満たしていたものの、ヒアリングの結果、ある重大な事実が発覚しました。それは、母親が施設に入所した後、二男の娘(被相続人の孫)が約1年間ここに移り住んでいたことでした。孫の当時の勤め先がこの自宅近辺だったらしく、単に空き家にしているのももったいないということで、二男の勧めもあってそうしたそうです。これが問題でした。

本特例の適用要件の一つに、「被相続人が高齢者施設への入所等で自宅を空き家にしていた場合、その後の相続開始、そして売却時まで、継続して空き家であること」というのがあるからです。特例適用なら譲渡所得税はゼロ円となるところ、適用不可のために約400万円の税負担が発生することとなりました。

それを伝えたときの長男の怒りは凄まじいものでした。「姪っ子さえあの時ここに移り住まなければ、俺の手取りは400万円増えていたはずなのに! 弟に文句を言って、400万円分を弁償してもらう!」と息巻いていました。その後この兄弟間でどのようなやり取りがあったのかまでは分かりませんが・・・。

 

【事例②】

父親と母親で自宅を持分2分の1ずつで共有し、二人で居住。父親が亡くなり、その持分は遠方に住んでいた一人息子が相続。その後に母親が亡くなり、その持分も息子が相続。そして、息子がこの自宅の売却を希望していたケース。

息子は「空き家の3,000万円特別控除」のことを多少調べたうえで適用可能と判断し、譲渡所得税はゼロ円になると見込んでいたようです。しかし、念のためにということで当社へ相談に訪れました。

はい、残念ながらゼロ円にはなりません。本特例は、譲渡(売却)資産の前所有者(被相続人)からの相続等により取得した持分に対して適用があるものです。本事例における前所有者(被相続人)とは母親のことですから、息子が母親から相続により取得した持分のみが特例の対象です。父親から相続した持分については本特例の適用対象外となり、通常通り譲渡所得税の負担が生じるのです。税額は約150万円でした。息子が大いに悔しがっていたことは言うまでもありません。

 

この2つの事例はどちらも、早めに当社に相談に来ていただいていれば、「将来の売却」と「空き家の3,000万円特別控除の適用」を視野に入れたアドバイスができたはずでした。しかし、全ては『後の祭り』。残念でした、としか言いようがありません。

 

 

また、被相続人の自宅敷地を相続等により取得した際には、「小規模宅地等の特例」の適用の可否が問題になります。適用可なら、自宅敷地の評価額は330㎡部分までが80%引きとなり、相続税の減額に効果大です。自宅敷地への本特例の適用は「誰に相続等させるのか」が最も重要な要件ですが、相続開始前に高齢者施設等へ入所した場合は、「入所時から相続開始時まで、自宅をどのような状態にしておくのか(空き家のままor賃貸or親族が移り住むなど)」によっても、適用可否が変わります。

 

なお、被相続人の自宅を相続等により取得した者がその後これを売却する場合は、相続開始から3年10ヶ月以内の売却に限り「取得費加算の特例」の適用が受けられる可能性があります。相続等で取得した自宅に対して負担した相続税額を売却時の経費に算入することができる特例です。この適用により、譲渡所得税をある程度軽減することが可能です。ただし、「空き家の3,000万円特別控除」との併用は不可となっています。

 

 

一方、生前に所有者(又は所有者から信託された受託者)が自宅を売却する場合は「マイホームの3,000万円特別控除」の適用が考えられます。こちらは、家屋が旧耐震時代のものか否かは関係ありません。適用要件としては、例えば本人が高齢者施設等に入所後に空き家として売る場合は、「空き家になってから3年が経過する日が属する年の12月末までに売ること」というのがあります。空き家になってから売却するまでの間の用途は特に問われず、「空き家のままor他人に賃貸or親族が移り住むなど」いずれでも構いません。ただし、家屋を解体して土地だけで売る場合は、前記の期限内、かつ、解体から1年以内に貸付等の用途に供することなく売買契約を締結する必要があります。

 

 

譲渡所得税も相続税も、自宅の取り扱いは結構複雑です。しかも、売却時や相続時では遅く、それよりも前の段階から特例適用の要件を整えておかなければならないケースも多いのです。早め早めに専門家へご相談することを強くお勧めします。いつでもご遠慮なく弊社にお声掛けください。

筆者紹介

江頭 寛
福岡相続サポートセンター 代表取締役社長
上級相続支援コンサルタント

生前対策から相続発生後の申告・納税に至るまで、皆様から寄せられる無料相談への対応や、希望する幸せな相続の実現に向けての対策立案と実行支援を、弁護士・税理士・司法書士・不動産鑑定士等の先生方をコーディネートしながら日々やらせて頂いてます。お客様にとってベストな相続並びに資産の有効活用を徹底的にサポートすることが私の最大の使命です。また、相続対策セミナーも全国各地で積極的に開催中。まずはお気軽にご相談ください。

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